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明日に向かって攀じれ!
by nawaclimbingclub
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組織の発展段階
 少しの間、皆さんには、稚拙で、退屈な昔話に付き合ってください。
 二代将軍、秀忠の治世、江戸城下は、ようやく首都としての体裁を呈し始めました。そんな時に、三代将軍家光は誕生しました。城下の町人たちは、それを祝うべく、それぞれの職人集で、神輿を造り、神社に奉納することになりました。刻限は、1ヶ月以内です。

 火消し集は、カシラの意思の元、富士山を象った神輿を作り始めました。普段、火消し達は、あまり経験がないものだから、慣れない手つきで、大工道具を操り、カシラの命令のままに、一生懸命、作りました。

 町の商人達は、何を作ろうかと、皆で相談し、やがて、鶴亀を屋根の上に抱いた神輿を作り始めました。商人たちも、慣れていませんでしたが、一々、みんなで相談し、協力し合いながら、神輿を組み立てていきました。

 大工の棟梁たちは、最初、世間話に花を咲かせ、酒を飲み、久しぶりの再会を大いに楽しんでいました。そして、日光東照神宮の陽明門を象った神輿を作ることが、ようやく決まりました。変った事に、彼らは、申し合わせることもなく、ばらばらに、それらの部分部分を、各々勝手に造りだしました。ある棟梁は、干支や中国の故事を題材にした透かし彫りを彫り、ある棟梁は、柱細工、そしてある大工は、それらを組み上げると言う風に、各々の得意な技を存分に発揮し、楽しみながら造りました。

 さて、最初に出来上がったのは、カシラの指揮の元、ものすごい勢いで造った、火消し集の神輿です。その風合いは、富士山がやや聳え立ちすぎて、荒削りではあるものの、力強く、勢いのあるものになりました。
次に出来上がったのは、商人たちのものです。その作風は、緻密で調和の取れた、優雅なものになりました。
最後にできあがったのが、大工の棟梁たちのものです。のんびりと楽しみながら造っていたので、それは刻限ぎりぎりというものでした。その作風は、個々の大工達の作風があらわれ、混然と一体となったものでしたが、それらが不思議と調和し、ユニークなものになっていました。
この3つの神輿は、それぞれにいい出来栄えで、将軍も至極満足されましたとさ・・・。

話は、大変長くなりました。この話は、実は、組織としての発展度や成熟度をあらわしています。すなわち、形成期に求められるのは、カシラのような、一人の独裁者であり、その人の情熱によって、周りの人々は動かされ、そして、一つのものを作り上げていきます。その時には、あまり話し合いは必要とせず、したとしても、さほどの成果は顕われないのです。そして、それは荒削りですが、勢いがあり、力強いものであります。反面、構造的には、一人に寄りすがっているので、脆弱です。
成長期に求められるのは、その組織の構成員達による、結束と協力で、それによって、一つ一つ物事を進めていく事です。それにより均整の取れた調和と組織の強さを生み出します。
そして、究極の組織の姿が、棟梁たちなのです。それぞれが、自分達の領分を心得ており、それぞれの判断で動き、一つの方向に向かうというものなのです。

名和クライミングクラブ設立以来、今年で、足掛け3年になります。今回の組織改変で、幹部の数が大幅に増えました。我々の今ある組織の姿は、一体どの段階のものなのでしょうか?間違いなく、火消し集から、商人集へと変貌しつつあると、私は思います。そして、この調和を円熟なものにしたとき、棟梁たちの姿に近づくのだと思います。そのためには、各々が、そういう意識を持ちながら、活動していくことが大切です。その意識とは、名和ボードをこれからも自由に使っていくためには、やはり、周りから認められ、節度ある使用や維持・管理をしていかなくてはならないという事です。この自分達のボードを自由に使うことと、その維持管理を責任もってやっていくことは、表裏一体の関係にあり、この「自由と自治」の意識こそが、当クラブにとっての基本理念とするものであると、私は信じております。

平成17年4月6日(水)第3回名和クライミング
クラブ総会のあった日の深夜、自宅にて思ったこと。
                 名和クライミングクラブ事務局長 辻  信 広

※この物語は、フィクションであり、史実や時代考察も、でたらめです。分かり易く説明するために勝手に作ったものです。
by nawaclimbingclub | 2005-05-10 15:31 | 局長のひとりごと
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